事業場外みなし労働時間制とは、労働法上一定の要件を満たした場合、実際の労働時間に関係なく一定の労働をしたとみなすことが出来るという制度です。この制度は、出張の多い職種や営業職の場合、内勤で働く労働者と違って労働時間の管理が難しいという観点から設けられている制度なのです。ただし、この事業場外みなし労働時間制は問題点もあり、残業代未払いの裁判も過去には起こっています。残業代というのは法定労働時間である1日8時間を超えた場合に雇い主側が支払わなければならないものなのですが、仮にみなし労働時間を8時間と設定した場合、それ以上働いても8時間しか働いたことにはなりません。
つまり、8時間30分や9時間働いた場合でもその超過分である30分や1時間に相当する残業代は支払われないのです。あくまでも事業場外みなし労働時間制の採用にあたっては、労働時間の算定が難しいことが理由でなければならないとされています。従って実際に働いた時間の算定がややこしくて面倒だからこの制度を取り入れよう、という安易な考えで導入してはいけないとされています。従って制度導入前には会社と労働者の間できちんと話し合いの場を持ち、労使協定を結んでおくことがベターです。
営業の仕事をしている方の場合、自分は営業職だから残業代が出ないとあきらめてしまっている場合も多いようですが、残業代の算定が可能な場合もありますので、疑問を感じた場合は弁護士に相談するという手段も知っておきたいものです。