事業所の外で仕事をする場合、雇い主は労働者を監督できません。外回りの多い営業マンなどがその例です。そのため労働時間の正確な計算ができませんが、そのような場合は、あらかじめ事業場外みなし労働時間制を採用して、賃金を支払います。この算出法では、特定の時間に労働をしたと見なされますが、詳細は労働基準法第38条の2に条文が載っています。
雇い主は条文を理解した上で、この制度を利用すべきです。例えば所定労働時間が8時間の場合で、事業場外みなし労働時間制を取っているなら、たとえ残業があっても労働時間は8時間となります。また6時間の労働をしていても、8時間勤務です。その結果、残業代請求がきわめて難しくなります。
外回りで自宅に直帰した場合は、特に残業時間が明確ではありません。ただし所定労働時間が9時間なら、明らかに法定労働時間を超えています。このケースでは、超えた1時間分を、残業代として請求できます。しかし在職中の請求は、雇い主との関係上、気まずくなるので行いたくないと考える人が多いです。
また、個人で請求しても無視された場合は、厚生労働省の労働局や弁護士に相談可能です。労働基準監督署に前もって話しておくのも良い方法です。さらに労働組合に加入している組合員なら、事業場外みなし労働時間制における残業代請求を代行してもらえます。その他、事業場外労働が10時間になっているなら、2時間は割増賃金の対象となります。